「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」って何ですか? メディア担当者が理解したいWeb用語

「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」って何ですか? メディア担当者が理解したいWeb用語

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成長するネット広告市場に対して、国会で新たな規制法案「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」が成立し、施行に向けた具体案の検討が始まりました。対象となるネット広告の種類やネット広告の問題点についてまとめてみました。

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成長するネット広告市場

インターネット上の広告市場は、4大マスメディア(テレビ・新聞・雑誌・ラジオ)よりも既に大きくなり、今後も更なる成長が見込まれます。今回の規制は、企業間の公平な取引や競争を促進することを目的としており、ネット広告市場において圧倒的なシェアを持つGoogleやFacebookなどの巨大IT企業(プラットフォーマー)を対象としています。

対象となるネット広告のサービス

今回、規制対象となる広告サービスは『ターゲティング広告』と呼ばれるものです。ターゲティング広告は、ユーザの会員情報や検索履歴、購買履歴などWeb上の行動履歴を元に、ユーザが興味・関心を持ちそうな広告を配信するサービスで『運用型広告』とも呼ばれます。ひと昔前のバナー広告は、配信場所ごとに期間(XX日XX円)やクリック単価(1クリックXX円)のような固定金額で広告枠を販売していました。ターゲティング広告は、訪問したユーザや配信するWebサイトによって広告枠の金額が変動する特長(入札制)を持っています。

詳しくはこちらの記事:顧客の興味・関心を追跡!行動ターゲティング広告で効率的な広告出稿が可能に

何が問題か?

ターゲティング広告において、効率的に広告を配信するにはユーザの行動履歴をより多く、正確に収集しなければなりません。巨大IT企業は、ユーザの行動履歴を大量に保有しているため、中小の広告事業者と比較して効果的な広告配信ができる環境が既に整っています。

このような環境下での問題は以下の2点です。

  1. 広告配信におけるユーザ情報利用:ユーザ情報がターゲティング広告に利用されていることを十分に告知できていない。サービス利用時に十分な説明をするか、ユーザ自らの判断でターゲティング広告へのデータ利用を拒否できる仕組みが必要。
  2. 配信結果及び請求料金の透明性確保:ターゲティング広告は、広告主とユーザの間に複数の仲介業者が介在し、配信料金が変動する特長を持ちます。巨大IT企業は、広告主とユーザを仲介する事業だけでなく、巨大Webサイトも複数運営しています。Webサイト閲覧回数やクリック数等の広告料金に関わる数値もシステム上操作可能であり、第三者による正確な配信測定を求める声が挙がってきています。

まとめ

ターゲティング広告は、売上拡大やブランド認知等、様々な用途に幅広く利用可能です。ユーザ情報の利用や取引の透明化等、システム・制度共に改善すべき問題はあるものの、便利なサービスであることは変わりません。今後議論される規制内容に注意しつつ積極的に利用しましょう。

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