動的メール「AMP for Email」はユーザへのアプローチを積極化できるか?

動的メール「AMP for Email」はユーザへのアプローチを積極化できるか?

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HTMLメールが普及した結果、テキストが当たり前だったメールの世界が大きく変わりました。訴求効果が高まり、情報量も飛躍的に向上。まさに革命的と言えるものだったかもしれません。それを上回る衝撃となりそうなのが、動的メール「AMP for Email」です。これまではメール内でどれほどユーザを引き付けられたとしても、「リンクをクリックする」という動作が必要になるため、Webサイトへの誘導率は大幅に低下していました。動的メールはその名のとおり、「動的」にユーザの行動をサポートし、Webサイトを閲覧することなく、その場でニーズに応えられる仕組みです。ここでは、動的メール「AMP for Email」の基礎知識とその活用方法について解説していきます。

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動的メール「AMP for Email」とは?

Eメールをインタラクティブに進化させる「AMP for Email」は、「Accelerated Mobile Pages」(AMP)技術をメールに応用したものです。2019年7月からGmailで提供が開始されています。

これまでのメールは、動的なコンテンツを見せたい場合に「サイトへのリンク」を貼り付けるのが一般的でした。一方、「AMP for Email」はメール自体が動的コンテンツとなるため、ユーザのアクションを待たずに見せたい内容を表示できます。「Webサイトへの誘導」というプロセスが不要になるため、集客効果に大きく貢献してくれます。

さらに、「AMP for Email」はメールの内容を常に最新に保つことができ、双方向のやりとりも可能です。例えば、メール内で問い合わせを送信するというようなアクションを起こすことができるため、ユーザの負担も軽減されます。

動的メールのメリットとデメリット

続いては、「AMP for Email」を使った動的メールのメリットとデメリットについて見ていきましょう。

動的メールのメリット

「AMP for Email」を活用すると、メール自体がWebサイトのような働きをするため、「リンクをクリックしてもらえない……」といったユーザの離脱を防ぐことができます。また、「AMP for Email」には常に最新の情報を表示できるという機能もあり、リアルタイムで情報を伝えることができます。この利点を上手に生かして、メールを使った集客を効率よく行うことも可能です。ダイナミックメールが簡単に構築できるため、インパクトがあり、ユーザの視点を引き付けやすいことも大きな魅力の一つです。

動的メールのデメリット

その一方で、「AMP for Email」にはいくつかの弱点もあります。動的メールを見てもらうためには、「AMP for Email」に対応したメーラーが必要です。AMPの仕様をサポートしているプロバイダーはまだ少なく、現時点ではWebメールで閲覧するのが主流です。メーラーで受け取る場合の受信設定が不明確なケースもあるようで、狙い通りの効果を得られない可能性があります。
また、動的メールの作成は、通常のメールよりもコストが高くなります。メール配信システムの変更が必要になるといったように、導入時の手間と費用も発生します。
さらに、「最新情報を提供できる」という利点は、逆に考えると「固定された情報ではなくなる」ということでもあります。動的になることで不変性が失われるため、「AMP for Email」に対しては証拠能力を求めるのが難しくなります。

動的メールの用途として考えられるもの

次は、動的メールの活用方法について見ていきましょう。動的メールの活用例としては、以下のようなものが考えられます。

  • イベントへの招待状の送付
  • アンケートに回答してもらう
  • カタログの送付
  • コメントへの返信
  • スレッドから最新コンテンツを案内
  • 直近の「おすすめ」を表示
  • 出欠管理ボードへの記入
  • 予約管理

販促やマーケティングツールとしてはもちろん、顧客サポートや企業の社員管理、イベント出席者の管理など、さまざまな用途に活用できる可能性があります。これまでWebサイトで行ってきたことを、メール画面だけで済ませられる利便性の高さが「AMP for Email」の持ち味です。

動的メールの目指すべき方向性は?

動的メールは、各方面で導入が進んでいます。「Yahoo! メール」や「Outlook.com」、「Mail.Ru」でも「AMP for Email」が表示可能になり、モバイルにも対応していく予定とされています。動的メールが急速に浸透していけば、ユーザへのアプローチ強化策として導入を検討する会社も増えていくと予測されます。

ただし、すべてのユーザが動的メールを好むわけではないと理解しておく必要があります。必要以上にインタラクティブなメールを追求するのではなく、既存のシンプルなメールとの使い分けを十分に考慮しなければなりません。ユーザの受け止め方を尊重し、自社に合ったメール戦略の方向性を確立していくことが重要です。

最初に行うべき施策は、これまでのメール戦略を分析し、サイト誘導中の離脱状況を確認することです。そして、「メールをWebサイト代わりにすること」で得られる効果がどの程度あるのかを検討していきます。同時に、ユーザのニーズをよく調べたうえで導入に踏み切らなければなりません。

まとめ:動的メール「AMP for Email」はメールの在り方を変える?

メールを開くだけで常に最新の情報を入手できる、リアルタイムでのやりとりも可能、となれば、ユーザの利便性が高まることは間違いありません。「メールで紹介されている商品をWebサイトで閲覧したら売り切れていた……」といった不満を、動的メールを活用することで回避できるようになります。

動的メール「AMP for Email」は、メールのイメージを覆すといわれており、大手を中心に「AMP for Email」への取り組みが加速しています。一方で、こうした動的なメールを好まないユーザがいることも忘れてはなりません。企業としては、発信するメールの住み分けをきちんと行い、適宜使い分けていく工夫が求められます。時代に遅れまいと焦って導入するのではなく、自社の商品やサービスにマッチしているかを見極めたうえで、独自の活用方法を見いだしていく必要があります。

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