AMPサイトで広告コンテンツのCTR(クリック率)が高い理由
トレンド
ニュースサイトやWebマガジン、ECサイトを中心に導入が進んでいるAMP(Accelerated Mobile Pages)は、スマートフォンやポータブルデバイスなどのモバイル端末においてWebページ読み込み速度が向上し、ストレスを感じにくくする効果があります。それだけでなく、配信される広告コンテンツのCTR(クリック率)※が非AMP型のWebサイトと比較し向上するという現象も見られます。
※CTR:Click Through Rateの略。広告などのコンテンツが、Webサイト上に配信された回数(インプレッション数と呼ばれる)のうち、ユーザによってクリックされた回数の割合のこと。%で表現する。
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用語解説
AMPサイトの広告コンテンツのCTRが高い理由を説明する上で、事前に理解しておくべき用語を解説します。
AMPサイト
AMPは、Accelerated Mobile Pagesの頭文字を取ったものです。モバイル端末でWebサイトへアクセスする際のユーザ体験の向上を目指して、GoogleとTwitterがAMPプロジェクトとして進めており、仕様が公開されています。公開仕様に基づき作成されたWebサイトがAMPサイト(AMP対応サイト)になります。WebサイトをAMP対応させることで、Googleの検索結果においては、AMPアイコン付きで(モバイル版のみ)上位に表示されるようになり、検索流入の増加を見込むことができます。
ビューワブルインプレッション
Webサイトは1画面で収まることが少なく、モバイル端末でアクセスした際、数画面は縦方向にスライドしてコンテンツを閲覧することになります。Webサイトのコンテンツは、ユーザがURLにアクセスした際、対象URLの全てのコンテンツが画面内に収まる・収まらないに関わらず配信されることになります。ビューワブルインプレッションは、Webサイトを訪れたユーザがコンテンツを閲覧できる状態にあることです。
広告配信とCTR向上の要因
AMPサイトにおける広告配信は、通常のWebサイトへの広告配信と比較してCTRが上昇する傾向にあります。その理由を解説します。
AMPサイトにおける広告配信の特徴
AMPサイトにおいて、広告を表示するためのタグとして
※「とりもち」も対応しています。
AMPサイトでの広告コンテンツは、コンテンツが配信される順番に特徴があります。AMPサイトでは、ユーザがURLにアクセスしただけでは広告コンテンツの配信は開始されず、
CTR向上の要因
通常Webサイトの広告コンテンツは、配信回数 > ビューワブルインプレッションであるのに対し、AMPサイトでは、配信回数 = ビューワブルインプレッションとなります。そのため、無駄な広告コンテンツの配信が少なくなり、通常WebサイトとAMPサイトで広告コンテンツが、同じクリック数だとしても、CTR指標では、AMPサイトの数値が優秀に見える現象が発生します。
例). 配信回数10,000 ビューワブルインプレッション 5,000 クリック数10の場合を考えてみます。
■WebサイトにおけるCTR
クリック数10 ÷ 配信回数10,000 × 100 = 0.1%
■AMPサイトにおけるCTR(配信回数 = ビューワブルインプレッションで計算)
クリック数10 ÷ 配信回数5,000 × 100 = 0.2%
上記例では、CTRが200%増という結果になります。通常のWebサイトで、広告コンテンツ表示領域にユーザが到達するまで50%離脱する場合では同じような結果になる可能性が十分に考えられます。特に画面スクロールが多いWebマガジンなどのAMPサイトでは、CTRの大きな改善が見込めます。広告配信業者にとっても無駄な広告配信を削減することで、サーバリソースの削減につながります。現状の課題は、広告配信の表示速度が高速でないことから、ユーザの画面スクロール速度が速い場合に広告表示が完了する前に広告表示領域のスクロールが完了してしまい、広告コンテンツを読み飛ばされてしまう可能性が生じることです。この課題については既に認知されており、AMPプロジェクトでも協議が進んでいるので今後の改善に期待しましょう。
AMPサイトへの広告コンテンツ配信はユーザ・広告配信事業者・広告主にメリットあり
今回は、AMPサイトへの広告コンテンツ配信効果について解説しました。AMPサイトへの広告コンテンツの配信は、該当URLへアクセスした段階では実行されず、対象広告枠へのビューワブルインプレッションが発生した段階で実行されます。そのため、通常のWebサイトと比較し、AMPサイトでは広告コンテンツによる無駄な通信を発生させる可能性が少なくなります。結果、広告コンテンツ配信量とクリックの割合が通常のWebサイトと比較し変化するため、CTRの向上につながります。ユーザにとってはレスポンスの向上、広告配信事業者にとってはリソースの有効活用、広告主にとっては効果測定数値(CTR)の改善につながり、関わるプレイヤー全てにメリットがあります。AMPサイトへの広告配信ボリュームはまだ少なく、若干の課題は残すものの、積極的に取り組む価値はありそうです。
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