これからのメディアECに従来型のレコメンドエンジン(ECサイトにおけるレコメンドエンジン)はそのまま適用できるか?

これからのメディアECに従来型のレコメンドエンジン(ECサイトにおけるレコメンドエンジン)はそのまま適用できるか?

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速報性のあるニュースメディアから特定の領域に焦点を当てたバーティカルメディアなど、大手企業から個人までWebメディアはその数を伸ばしつつあります。それらWebメディアの中には、広告以外の収益モデルとしてEC(electronic commerce)に取り組むケースも増えています。多くのECサイトにおいても、集客手段のひとつとしてWebメディアに取組むケースも増えており、Webメディア-ECサイトの連係が今後も進んでいくことが推測されます。

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今回は、メディアEC時代における従来型レコメンドエンジンの課題について考えます。

メディアのEC化、ECのメディア化

Webメディアと呼ばれる読み物系サイト(他 Webマガジン、オウンドメディア、コミュニティサイト)は、広告(記事広告・広告枠販売・プログラマティック広告)を中心としたビジネスモデルでサービスが成立しているケースが多く、新たな収益の柱としてECに参入するケースも増えています。一方ECサイトは、従来のモール型ECだけでなく、自社ECサイトを保有する企業が多くなり、リスティング広告など広告以外の集客方法のひとつとしてWebメディアを立ち上げるケースも増えています。それぞれスタートは異なりますが、WebメディアとECサイトを連携させ、相乗効果を出すという目的は変わりません。

課題は、WebメディアからECサイトへの送客

ECサイトが集客目的で新規にWebメディアを立ち上げても、ECサイトへの送客が成功しないとWebメディアを立ち上げた意味がありません。実際、WebメディアにはECサイトへのバナーリンクのみを設置してあるだけのケースも目立ちます。多くのECサイトで導入されているレコメンドエンジンを利用すれば、記事コンテンツから商品コンテンツへの誘導は簡単にできそうですが、メディアECの特性から従来型のレコメンドエンジンをそのまま適用するにはいくつかの課題をクリアする必要がありそうです。

課題:従来型レコメンドエンジンでは、記事に対して商品をレコメンドできない

ECサイトにおいて多くの企業で導入されているレコメンドエンジンですが、その多くはユーザの購買データや閲覧データをもとに商品をレコメンドする「強調フィルタリング」で実装されているため、記事コンテンツに対して商品を即座にレコメンドすることはできません。その理由を見ていきましょう。

理由1:記事コンテンツに対して商品を簡単にレコメンドできない

従来型のレコメンドエンジンでは、商品をレコメンドするために商品同士の関係性を購買データや閲覧データをもとに計算していました。ECサイトのアクセスボリュームに対して、Webメディアのアクセスボリュームが小さい場合、記事に対してレコメンドすべき商品の計算ができず、有効なレコメンド結果が得られない状態になります。

【課題】強調フィルタリングのコールドスタート問題

理由2:複数ドメインをまたいだコンテンツ連係が難しい

WebメディアとECサイトのアクセスボリュームが同等になったとしても、WebメディアとECサイトのドメインが異なるケースが多く、それぞれのサイトのアクセスログを統合しなければ従来型のレコメンドエンジンを有効活用できません。アクセスログを統合し、記事IDと商品IDをひも付ける必要があります。システム改修が必要になり、連係するWebメディアがひとつでない場合は、よりコンテンツ連係に時間と費用を要します。

【課題】複数ドメイン間の相互レコメンドに即対応できない

理由3:メディアECの販売対象は物だけではない

メディアECは必ずしも物を扱うとは限りません。サービスECとWebメディアが連係するケースも多く、数量や販売期間の限られたサービスチケットを販売する場合、理由1のコールドスタート問題が存在すると有効なレコメンド結果を得る前に販売期間が終了してしまうという致命的な問題が発生するかもしれません。

【課題】物販以外のサービスECが考慮されていない

運用を楽にするレコメンドサービスを見つけよう

今回は、メディアECに従来型レコメンドエンジンをそのまま適用する際の課題をまとめてみました。メディアECといっても、扱う商品やWebメディアの特性・連係するサイト数によって必要になるレコメンドエンジン・サービスの特性は変わります。とりもちでは、完全クッキーレスでマルチドメイン対応のコンテンツレコメンドサービスを提供しています。興味のある方は是非お問い合わせください。

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