いったい何が進化した? ITP2.0

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2018年6月にアメリカ・サンフランシスコで行われたApple(アップル)の開発者向けイベント「WWDC 2018」で、ITPのセキュリティ機能をさらに強化したITP2.0の実装が発表されました。ユーザのプライバシーをより考慮した仕様になっています。従来のITP1.0とは「何が違うのか?」、「どう変化したのか?」という点について詳しく解説します。

以前の記事:Appleユーザ必読!サファリの新機能ITPでcookieの動作が変わる

ITPとは

ITPとはIntelligent Tracking Preventionの略で、Appleの標準ブラウザであるSafari(サファリ)に搭載されているWebサイトにおけるトラッキングの抑止機能のことです。初期バージョンとなるITP1.0は、2017年9月に公開されました。この機能はMac OS High SierraやiOS11ではデフォルトになっています。主な機能はクロスサイトトラッキング(複数のサイトを横断して情報を収集すること)のCookie(クッキー)を24時間で削除すること。サードパーティドメインによるユーザの追跡を抑止することで、ユーザのプライバシー保護を高めています。これによりユーザは過度のリターゲティングを受けることがなくなりました。

ITP2.0で変化したこと

Apple社のセキュリティエンジニアの解説によると、ITP2.0では以下の3項目について大きな変化があるそうです。

Cookieの即時廃棄

従来のITP1.0では24時間保持されていたサードパーティのCookieが、ITP2.0では即時に破棄されるようになります。

承認のない情報は廃棄

サードパーティCookieが即時廃棄される代わりにStorage Access APIを用いて、ファーストパーティCookieに情報を収集できます。ただし、ユーザにはその旨を確認するダイアログボックスが表示され、ユーザが承認した場合のみ収集が可能になります。ユーザ承認はWebサイトごとに行われ、ユーザからの承認が30日間とれない情報はそのまま破棄されます。

リダイレクトの検知

ITP2.0では、リダイレクトを複数使用することができなくなります。トラッキングシステムが共謀して「ユーザの特定」を行っていると判明した場合、データを削除する仕様になっているためです。ユーザの訪問履歴をもとにリターゲティング広告を表示する場合、ITP2.0ではドメインのみをリファラーとして返すようになります。

ITP2.0による影響

ITP2.0では、ユーザのセキュリティ対策が大幅に強化されています。日本のスマートフォン市場のなかでもiPhoneは大きなシェアを誇っており、ITPはiPhoneのデフォルトブラウザであるSafariにも実装されている機能となるため、iPhoneやiPadを使っている日本の多くのスマートフォンユーザに対して、以下のような影響があると考えられます。

  • サードパーティCookieが制限されるため、Cookieを使ったキーワードでのリターゲティングは配信量が減少すると予想されます。また、その精度も落ちると考えられます。
  • Cookieを使った従来型のコンバージョン・アトリビューション計測の精度が落ちると考えられます。

safariはApple製品のデフォルトブラウザでありますが、「ユーザの母数があまり大きくないため、そこまで悲観的になることではない」という見方もあります。Googleアナリティクスを使っている場合は、コンバージョンを問題なく計測できます。Google広告の場合は、コンバージョントラッキングタグを発行してページ内に設定することで正しく計測できます。Facebook広告も自動詳細マッチングを設定することで、ユーザのキャッシュ情報をもとにコンバージョン・アトリビューションを計測できます。

まとめ:新しい広告モデルが必要な時代へ

近年、ディスプレイ広告をはじめとしたインターネット上の広告は目に見えて進化してきました。インタレストマッチ、コンテンツマッチ、リターゲティングなど、新しいものが次々と登場しました。その反面、「インターネット上に自分の個人情報が抜かれている、漏えいしている」と感じるユーザも増えてきました。こういったユーザに対し、Apple社が今後もプライバシー対策を講じていくことは、決して不自然なことではないでしょう。この先も、従来の広告手法が機能しなくなるケースが出てくると予想されます。インターネットは広大で、変化や進化の激しい世界です。常に最新の情報をキャッチし、一つずつ対策していくことが大切です。